附家書店

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徳島 附家書店の取り組みから考える自社の再定義

徳島 附家書店の取り組みから考える自社の再定義

 先日、徳島県にある附家書店という本屋を訪問しました。

 本書店は、徳島市内に4店舗を展開。他にもバースブック珈琲というブックカフェや文具・雑貨店も展開しています。この附家書店を運営する港興業の代表の山内様とは、あるアメリカのベンチャー企業視察の際にご一緒させて頂いたのがご縁の始まりでした。

 IT関連の業種でもなく、拠点も東京と徳島と離れており、ほとんど接点はありませんでしたが、非常に真面目な方で、視察中の朝食の場で、私のような人間に経営戦略や人事制度について、非常に色んな質問をしてきてくださいました。その時の山内様の経営に対する非常に真摯な態度、考え方や学ぶ姿勢に、経営者として尊敬できる部分があり、その後も定期的にお互い行き来したりと懇意にさせてもらっていましたが、今回、時間ができたこともあり、先日、山内様が経営する附家書店がある徳島県に訪問させて頂きました。

 山内様は2代目社長で、初代社長は会長として会社にいらっしゃるのですが、もともとはTSUTAYAのフランチャイズ店として、徳島に数店舗を展開。そこからTSUTAYAの戦略に習って書籍やCDやDVDレンタルをやってきましたが、TSUTAYAの業態変更にならって、今から数年前にフランチャイズ店を止め、自社の生き残りをかけて独自の戦略を取ったそうです。

 東京にいると気づきづらいですが、地方は過疎化、市場の縮小が顕著となってきており、そうした市場の中で地場産業がどういう形で業態変更をしていくのか、個人的に非常に興味を持っておりました。
 ご存知の通り、現在、本屋は非常に厳しい状況で、ビジネス書だけでなく、マンガも売れなくなってきているそうです。この状況下の中、各書店は背に腹は代えられないほどの選択を迫られています。
 そうした中、山内様が取った戦略は、書店を「本を売る場所」ではなく、「リッチな時間と空間を満喫するためのプレイス」にすることです。
 山内様が経営する附家書店には、書店の中にソファーがあり、コーヒーを飲みながら本を選ぶことができます。更に本を買いに来たお客様を囲い込んでいくために、日用雑貨や文具を置いたり、欧米式の非常に美味しいハンバーガーショップを設置したりと、「本を読みながらリッチな時間と空間を満喫するためのプレイス」にしようという、考え方に基づいた進化をしています。ここに地方のサービス業の進化のヒントが隠されているんじゃないかと思いました。
 衰退していく市場の中では、企業は再度、自社を再定義する必要があると思っています。つまり、我々は何者なのか、何をする会社で、何を通して社会に価値を提供していくのか、ということです。

 任天堂は昔、花札を売っている会社でしたが、そのまま花札屋だという定義では、Wii(ウィー)やNintendo Switch(スイッチ)は生まれてこなかったでしょう。恐らく任天堂は、「今は花札を売っているかもしれないが、我々のミッションは花札を通して家族の団欒の時間を演出するための会社だ。」という自社の定義をしたから、それを実現するために、花札だったり、Wiiだったり、Nintendo Switchへ変わったりという発想の順番だったのではないでしょうか。

 あらためて、我々は何者なのか、何をする会社で、何を通して社会に価値を提供していくのか、再定義をしていかないといけない時代になってきていると、経営者として非常に考えさせられる出張だったなと思いました。

 山内さん貴重なご機会ありがとうございました。

「附家書店」のウェブサイトはこちら
http://www.tsukiya.jp/

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