INTERVIEW
2015年にスターティア(現:スターティアホールディングス、以下 当社)にグループインした鹿児島の株式会社NOS。創業者の息子であり、現場の第一線で活躍する永田さんをはじめとするメンバーに、グループイン後の変化について伺いました。働き方改革の実現から大型案件の獲得まで、M&Aがもたらした具体的な成果と今後の展望についてお話を聞きました。
NOS 永田さん、福田さん、鹿倉さん
永田聡さん (以下、永田) |
2006年入社。マルチベンダー機器によるネットワーク構築や、AWS上でのActiveDirectory環境の設計・構築など、インフラ領域を中心に幅広く担当。M&Aのグループイン後は、取締役に就任。その後、技術者としての専門性を高めたいという思いから、取締役を退任し、現在はシニアマネージャーとして現場の第一線で業務に取り組んでいる。 |
---|---|
鹿倉道淳さん (以下、鹿倉) |
2004年入社。コピー機のメンテナンス担当として従事。現在は、マネージャーとして、ネットワークの構築と回線作業を担当。 |
福田梨菜さん (以下、福田) |
2014年6月入社。グループイン前はパートスタッフとして、経理、人事総務関連の業務に従事。グループインに伴って、正社員として雇用を変更し、現在はマネージャーとして、バックオフィスチームを統括している。 |
当社 事業戦略本部 M&A推進グループ 吉田
ーーM&Aの話が出たとき、どんな気持ちでしたか?
永田:当時、父(創業者)が「スターティアとM&Aをする話がある」と社員全員を集めて説明をされました。もともと家族経営でもあったので、私が社長を引き継いで事業を継続するか、あるいは、スターティアの傘下に入るかの選択肢について社員で話し合いました。
社内からは「永田がそのまま社長になった方が良い」という声が多数でしたが、一方で、新しい風を入れるためにスターティアHDの傘下に入った方が良いという意見も少なからずありました。いずれにしても、M&Aに対する恐怖心や将来への不安は大きかったですね。
福田:私はパートタイム社員だったこともあり、長く働くイメージを持っていなかったので、比較的楽観的に捉えていました。不安よりも「変化」として受け止めていました。
鹿倉:私は正直、不安の方が大きかったです。給料はどうなるのか、万が一会社がなくなったらどうしようかと考えました。インターネットでスターティアについて調べると、かなり厳しい営業スタイルという情報もあり、厳しいノルマがあるのではないかという不安もありました。
永田:実際にグループインしてみて、スターティアから出向という形で来た森さんがNOSの既存の流れを尊重してくれましたこともあり、無理な改革はせず、私たちの企業文化も大切にしてくれたことが、スムーズな統合の大きな要因で徐々に慣れることができたのは、非常に大きなポイントでした。
ーーグループイン後、働き方の面で変化はありましたか?
永田: ここは本当に大きな変化がありました。グループインして良かったと感じる部分の一つです。父が社長をしていた頃は、朝早く出社し、翌日の準備などで20時、21時まで働くことも当たり前。有給休暇も取りにくい環境でした。しかし、スターティアHDグループになってからは、これらが大きく改善されました。現在では18時に退社して家族と過ごす時間を持てるようになり、有給も取りやすくなりました。非常にクリーンな会社になったと実感しています。
福田:それこそ就業規則なども当時の代表と社労士の先生と一緒に全て見直し、作り変えました。有給休暇の管理や残業時間の管理が適切にできるようになり、鹿児島県が実施しているかごしま「働き方改革」推進企業にも認定されるほど変化しました。働き方の改善が進んだことで女性社員の増加にもつながり、組織全体がより柔軟で風通しの良い環境になってきていると感じています。
今後の課題としては、グループ内でのさらなる情報共有や連携強化があると思います。まだまだ伸びしろがあります。
鹿倉:本当にクリーンな会社になったと思います。素晴らしかったのは、スターティアHDから来た代表が無理やり舵を切るのではなく、段階的に改革を進めてくれたことです。おかげで私たちも変化についていくことができました。もう一つ大きな変化は、意思決定の流れです。それまでのトップダウン式の組織体制から、「管理職会議」という各管理職が集まって話し合いながら決めていく形に変わりました。これによって現場の声が経営に反映されやすくなったと感じています。
ーーグループインしたからこそ得られた成果や事例はありますか?
永田:グループインによって得られた大きな成果として、技術レベルの向上と案件規模の拡大が挙げられます。一番大きいのは「チャレンジできる環境が整った」ことです。スターティアグループには高い専門性を持つ技術者の方々が多く、そうした方々とご一緒させていただく中で、私自身の視野が広がり、大きく成長できたと実感しています。
具体的な例でいうと、コロナの時期に地元の病院からネットワーク構築プロジェクトの依頼をいただきました。このような大規模ネットワーク構築は私たちにとって初めての挑戦でした。その際、スターティアから技術支援を受け、共同でプロジェクトを推進することができました。スターティアという大きな母体がバックについていたからこそ、「やってみよう」という前向きな姿勢で案件に取り組むことができたんです。もし私たちだけだったら、経験不足から断っていたと思います。
この案件が転機となり、担当した病院の方から「NOSでネットワークを構築してもらった」と他の医療機関に紹介していただけるようになりました。その結果、現在も継続して医療機関からの大型案件を受注できています。スターティアと一緒に取り組んだ最初の案件で学んだノウハウを活かして、今では私自身が同様の案件を担当できるまでに成長できました。
また、福岡支店のメンバーから案件紹介をいただくなど、グループ間のシナジーも実感しています。鹿児島だけでは得られなかった機会が得られたことは、グループインをして得られたもう一つの大きなメリットだと思います。このつながりを大切にしながら、今後はさらに拠点の垣根を越えた連携を深め、グループ全体としての価値提供につなげていきたいです。
ーー今後の目標についてお聞かせください。
福田:バックオフィス業務のさらなる効率化を目指しています。例えば発注業務などをもっと合理化できれば良いと考えています。グループ全体での業務改善の流れの中で、鹿児島にいながらグループの業務に貢献できる体制を作りたいと考えています。
鹿倉:個人的には「生産性」を非常に意識するようになりました。これを組織として高めていくことが不可欠だと思っています。まずは自分自身が生産性の質を高め、チーム全体にも広げていきたいです。
永田:現在の課題としては、インフラ関連の大型案件が増えた反面、私にしかできない「属人化」の問題が出てきています。次のステップとして若手メンバーの育成を重点目標にし、組織としての対応力を高めていきたいと考えています。そして将来的には、現場での経験と実績を積み重ねながら、いつか自分の力で再び経営に携わることができればと思っています。