INTERVIEW
2021年に事業譲受(M&A)という形でスターティアにグループインした現スターティアリード(旧:SD21、吉田ストア)のメンバーに、M&A当時の状況と現在までの変化についてお話を伺いました
スターティアリード 櫻井さん、氏家さん、高橋さん
櫻井伸也さん (以下、櫻井) |
16年目。技術職で入社後、ITコンサルタントとして技術営業を経験。その後、営業を経験し、現在は札幌支店の支店長に就任。 |
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氏家秀明さん (以下、氏家) |
15年目。技術職として入社後、ITコンサル業務を経験する。営業に特化するネットワークをメインとする事業部に異動後は営業を担当。2025年4月から支店長に就任。 |
高橋邦徳さん (以下、高橋) |
10年目。入社当初から人事総務部として採用、人事制度関連などの業務を担当。 |
当社 事業戦略本部 M&A推進グループ 吉田
ーーM&Aの話はいつ頃から聞いていましたか?それとも決まってから聞きましたか?
櫻井:そうですね。私は、鮮明に覚えてますよ。2021年5月の連休明けでした。連休明けに突然緊急収集という形でテレビ会議があり、そこで旧社長が「申し訳ないっ!」と言いながら事の経緯について説明をしていました。ちょうどその時期、新入社員も入社したばかりでしたよね?
高橋:はい、2021年4月に新卒と中途採用で10名ほど入社したところでした。
櫻井:10人も採用していたんですね。正直、最悪なタイミングでしたね(笑)。私がいた札幌支店にも2名配属されたのですが、入社してたった1か月で事業売却の話が出たので、彼らにも本当に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。その後、毎月進捗共有があり、半年後にスターティアにグループインすることが決まりましたが、その6か月間は将来への不安でいっぱいでした。
当時は、スターティア含めて、3社から一緒に仕事しましょうと言ってくれて、個人的にはスターティアが良いと思っていました。毎月、共有があるので、候補先の企業を調べていたのですが、これまでやってきた業務の類似性やデジタルマーケティング領域への投資など成長フェーズのある中で拡大していくのが想像できてました。実際に、スターティアに決まったときはガッツポーズしましたね。
ーー高橋さんはいかがでしたか?
高橋:櫻井さんの言う通り3つ候補があり、毎月進捗報告を受けていました。もちろん、不安は大きかったですが、決まってからの事の方が印象が強く、当時、スターティアの笠井さん(現スターティアHD 取締役)と橋本さんが来社して、全社員と面談してくれたことです。一人一人としっかり話をしてくれた姿勢に感銘を受けました。
櫻井:札幌は笠井さんと橋本さんが来てくれましたね。
高橋:全拠点を回って全員と会われたと思います。時間をかけて丁寧に対応してくれたことが印象に残っています。
ーー氏家さんは印象に残っていることはありますか?
氏家:正直、社内の雰囲気が最悪だったことが印象に残っています。会社が倒産するかもしれないという状況で、将来がまったく見えませんでした。どこかが買収してくれると聞いてはいましたが、それも全て鵜呑みにはできない状態でした。
実務面でも深刻な影響がありました。それまで簡単に通っていたリース契約の審査が突然通らなくなり、会社リソースの利用制限も増えていきました。追い込まれている実感は日に日に強くなっていました。仙台支店では営業担当者が10数名いましたが、その6〜7割が退職してしまいました。新しいスタートを切るまでは、とにかく不安しかありませんでした。
グループイン後も、しばらくは不安が続きました。私たち営業が数字を出せるかどうかが見られていると感じていたので、何とか半年間頑張って継続してもらえる会社にしなければと必死でした。認めてもらうために全力で営業活動に取り組みました。
櫻井:氏家さんは責任感が強いから、使命感もあったのでしょうね。「やらなければならない」という気持ちがあったと思います。
高橋:5月からの半年間は本当に大変でした。スターティアの営業組織についていけるかという不安もありました。私と上司の2人で全社員と人事面談をしました。できるだけ退職を防ぎたかったので「一緒に頑張っていこう」と伝えたかったのですが、すべてに責任を持てる状況ではなかったので、強くは言えませんでした。結果的に多くのメンバーが退職していき、文字通り「再スタート」という状況でした。
ーー不安が払拭されていったタイミングはいつ頃でしたか?
氏家:率直に言って、多くのメンバーの給与が増えたんじゃないかと思います。全員かどうかは分かりませんが、特に営業はベース給とインセンティブの両面で変化を実感しやすかったと思います。給与の安定感は以前と全く異なり、不安払拭の大きな要因になったと思います。
高橋:人事の立場からすると、東証プライム市場上場企業(当時は東証一部)のグループ会社になったことで、人事制度や財務基盤の安定性を実感できるようになってからだと思います。特に、営業メンバーへの明確なインセンティブ制度の導入は大きな変化でした。
櫻井:そうですね。旧SD21時代には明確でなかったインセンティブ制度が、グループイン後は明確にあったので、それによって明確な目標設定ができるようになり、モチベーションアップにつながったと思います。これは不安払拭というよりも、前向きに取り組める要因になりました。
ーー変化していく中で、特に大きく変わったことはありますか?
櫻井:価値提供の内容が変わったことは非常に大きな変化でした。スターティアからは常に「モノ売りではなく、コト売りになれ」と言われていました。SD21時代は「モノを売ること」が最優先で、とにかく安く販売することが多かったです。今、見返したら、目も当てられないような金額での取引もありました。
しかし、スターティアリードになってからは、お客様に「このような対策が必要です」「こういった対策をしないと今後問題が出てくるので、こうしましょう」など、会社の状況をしっかり聞いた上で必要なコストを提示し、納得いただける提案ができるようになりました。提案の流れを変えてから売上成績にも好影響が出てきましたし、非常に理にかなった営業ノウハウを学ぶことができました。
我々も営業に対する貪欲さはありましたが、やはり「本気でお客様としっかり付き合っていこうぜ!」という強い姿勢がスターティアにはありました。実は札幌支店はほとんど予算達成できていない状態でしたが、会社が変わるタイミングで7人いた営業メンバーのうち3人が退職し、しかもその退職者が主力メンバーだったのでかなり厳しい状況でした。それでもスターティアのサポートもあり、予算達成できる体制が徐々に整い、継続して目標を達成できる組織に変わってきました。
高橋:人事の立場から見ても、櫻井さんが言われた「理にかなった営業」のノウハウがスターティアリード全体に浸透してきていると感じます。特に若手メンバーに効果が表れており、入社1〜2年で活躍ができています。
ーーこれからの目標を教えてください。
氏家:やはり売上を上げていくことだと思います。困難なこともありますが、継続的に価値を提供し、毎月安定して売上目標を達成することが最終的にはお客様のためになると信じているので、それを継続していきたいです。
高橋:現状は、組織文化の面でも変化を感じています。旧会社時代では、旗となる明確なミッションがなかったのですが、スターティアグループに入ってからはリードのミッションを掲げ、昨年10月には新しいミッション「信用を礎に、最適解へ導く」が策定されました。人事としては、このミッションを組織全体に浸透させていくことが重要だと考えています。単なるスローガンではなく、全社員が共感し行動に移せる文化を作っていきたいです。
櫻井:シンプルですが、「お客様の最高のビジネスパートナーになる」ことです。これが私の中で最も強い思いです。
単なる「業者」として見られるケースもありますが、「他社の方が安いからそちらにする」ではなく、「金額は高くても櫻井さんのところにお願いしたい」と言っていただけるような関係を築きたいです。「全部まとめてお任せするから」と信頼していただけるよう、お客様とともに成長できる関係を構築したいと考えています。
営業では相見積もりを取られることも多いですが、最高のビジネスパートナーになるためには私たち自身も変わる必要があります。現在、スターティアリードでは「有言実行」をスローガンに掲げていますが、お客様との約束を守り、「これからもお付き合いをお願いします」と言っていただける関係性を作っていきたいです。