INTERVIEW
廃業の危機から再出発し、現在はスターティア(以下、当社)グループの一員として成長を続けるBCメディア。
本記事では、M&Aの経緯から統合後の変化、そして現在の高い生産性を維持しながら進める事業拡大戦略まで、当社のM&A成功事例を現場の声からお届けします。
スターティアリード川下さん、藤原さん、加島さん
川下さん (以下、川下) |
2008年、新卒でスターティアに福岡支店勤務で入社。その後、東東京や横浜など様々な支店を経験し、2021年4月に福岡支店と兼務という形で、熊本支店の開設及び支店長に就任。翌年、2022年4月にBCメディアに出向という形で取締役に就任し、2023年4月より代表取締役に就任。 |
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藤原善徳さん (以下、藤原) |
1983年4月、当時は株式会社BC商会に入社。42年間一貫して、営業職として従事。1999年8月に取締役部長就任。2009年8月に常務取締役に就任。2016年8月にスターティアへのグループインに伴い、代表取締役に就任。2021年3月に定年により退任したが、再雇用制度で現在、契約社員として従事。 |
加島隆さん (以下、加島) |
1989年にBCメディア株式会社に入社。35年間、一貫して、サービスエンジニアとして従事。2023年11月にマネージャーへ就任。 |
当社事業戦略本部M&A推進グループ吉田
ーー廃業の選択肢もあったとお聞きしましたが、M&Aをするとなった経緯について教えてもらえますか?
藤原:はい。会社はそれほど赤字でもなく、順調に成長はしていました。ただ、大きな成長が見込めず、安定はしているものの伸び悩みを感じていました。そんな中、創業者が怪我をしたことが、M&Aを検討するきっかけとなりました。
組織が比較的高齢化していた背景もあり、取締役常務であった私ともう1名の役員がいる中で、創業者から突然「もう廃業しようか」と言われたのです。社員の皆さんの生活がかかっていますし、長年お付き合いしてきたお客様のことも考えると、何とか会社を存続させる方法を模索する必要がありました。廃業以外の選択肢としては、「役員による株式買取」か「M&Aによる事業譲渡」がありました。ただ、我々役員側には株式を買い取るだけの資金がなかったため、結局M&Aが最善の選択肢という結論に達し、譲渡先を探す活動を始めました。
加島:ちなみに、私たち一般社員は、M&Aの詳細については実際のところ知らされていませんでした。決定後に初めて正式に聞かされたので、「決まったんだな...」という感じでした。
ーースターティア以外にもう何社か選択肢はあったと思いますが、スターティアを選んだ背景はなんでしたか?
藤原:スターティア含めて2社から具体的な提案をいただきました。どちらも事業シナジーは見込めましたが、最終的な決め手となったのは、スターティアが上場企業であるという安定した基盤と、面談を通じて感じた経営陣の人柄です。長期的な視点で会社と従業員の将来を考えた時、スターティアとの相性が最も良いと判断しました。
ーーグループインしてみての苦労や良かった点はありますか?
藤原:最も大きな変化は仕事の進め方でした。当時のBCメディアは非常にアナログな文化で、注文書を発行するといった基本的な業務フローもなく、電話での受注、口頭での発注が主流でした。スターティアのシステムを導入することで、最初は戸惑いましたが、大阪支店のメンバーにサポートしてもらいながら業務効率化のメリットを実感できるようになりました。結果的に、以前は事務処理に費やしていた時間を営業活動に充てられるようになり、顧客対応の質も向上していると思います。
加島:私の場合、「嫌だ」という感情よりも、比較的年齢が高いBCメディアと若いスターティア大阪支店メンバーとの間にジェネレーションギャップがあるのではないかという点が不安でした。特に最初、メールでのやり取りだけでも苦労しました。しかし、大阪支店のメンバーが丁寧にサポートしてくれたおかげで、徐々にデジタルツールにも慣れ、今では普通に使いこなせるようになりました。彼らは技術面だけでなく、積極的なコミュニケーションを通じて世代間のギャップも埋めてくれました。時代としてデジタル化が当たり前になっている中、グループインしたからこそ変化せざるを得なかったことが、結果的には大きなメリットになっています。
他には、初歩的なことかもしれませんが、残業代がしっかり支払われることや福利厚生が充実するなど、給与面での安定が得られたことも大きな変化です。M&A前は生活面での不安もありましたが、スターティアの母体に入ることができたので、福利厚生や人事制度の面で、心配がなくなり精神的にも安定して働けるようになりました。
ーースターティアから出向された川下さんにとって、異なる世代の組織をまとめる上で工夫した点はありますか?
川下:私自身、比較的若くして支店長などを経験させてもらえたこともあり、年上のメンバーのマネジメントをすることには慣れていました。世代が違えば考え方や文化が異なるのは当然ですが、むしろそれを組織の強みに変えることを意識しました。
ただ、その中でも効果的に働いてくれたのは、現在執行役員を務める峯籏(みねはた)の存在です。彼は東京支店時代からの部下で、私と一緒に出向メンバーとしてBCメディアに参加しています。峯籏が現場レベルでのコミュニケーションを担ってくれたことで、組織全体の融合がスムーズな組織運営にプラスに働いたと思います。
ーーところで、BCメディアへ出向した川下さんの当時の気持ちはいかがでしたでしょうか?
川下:そうですね。もともと子会社の社長をやりたいことはスターティアの代表、笠井さんに伝えていたこともあったので、ちょうどいいタイミングでBCメディアの話をもらい、嬉しかったです。ただ、最初は取締役としての出向だったので、そこだけ悔しかったです(笑)。
しかし今思えば、1年間の取締役期間があったことは非常に良かったと感じています。引き継ぎや学習の時間を十分に持てたからこそ、BCメディアの事業や顧客への理解が深まりました。様々な質問ができる環境があったことで、現在では会社の強みを最大限に活かした経営戦略を立てられています。
これまでいろんな支店を任せてもらえましたし、BCメディアでも取締役を経験しましたが、代表になって大きく変わったことは、予算に対する責任感です。端的にお伝えすると、以前は上から降りてくる数字に対応するだけでしたが、代表になってからは自分で達成すべき数字を設定する立場になりました。自分で掲げた目標を達成するという責任は、グループ内の他の管理職よりも重いものがあると感じています。
ーーBCメディアの強みについて聞かせてもらえますか?
川下:BCメディアはスターティアグループの中でもスターティア本体に次ぐ、一人当たりの生産性の高さが最大の強みです。この高い生産性を支えているのは、長年かけて築き上げてきた顧客との強固な信頼関係です。今後は売上規模の拡大と人員増加を計画しており、BCメディアの強みを活かしながら成長を続けていきたいと考えています。